メディウム#14

この作品は、伊豆半島西部からみた富士山を撮影したもので、手前にある島はまるで夫婦岩のように見えます。川久保ジョイは、自然の美しさを見せながらも、その裏にある環境問題や普段の暮らしでは忘れているようなエネルギー問題なども考えるような示唆に富んだ作品を見せてくれる。この作品では、初めて軸という日本の伝統的な表現に挑戦してもらった。軸装は勝村真光。百年前の金箔をはり、軸先には光学ガラスを使っている。川久保ジョイが写真家であることから、の粋な計らいである。

川久保ジョイ Yoi KAWAKUBO

 1979年スペイン生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程中退。専業主婦と金融トレーダーを経て作品制作に専念。物語性を巧みに用いた多メディア・インスタレーションで特異的な歴史を普遍的な問題へと媒介して行く作品群を制作する。近年のグループ展は「六本木クロッシング2019」(森美術館)、「21st DOMANI展」(国立新美術館、2019)、「ヨコハマトリエンナーレ2017」(横浜美術館)。2015年VOCA展大原美術館賞、第10回shiseido art egg入選等の受賞がある。