野にありて飛べ(出没)
《野にありて飛べ(出没)》は、古今東西の名画にご自身が扮してしまう森村泰昌の日本美術シリーズの1点。オリジナルは、平安時代末期に制作された絵巻物、「信貴山縁起絵巻」の中の延喜加持の巻の場面で、病の床にあった醍醐天皇の病を治すために剣の護法童子が空を飛び、転輪聖王の金輪を転がし、天皇のいる清涼殿に向かっている図となっている。2020年の明治神宮ミュージアムでも展示され、コロナの世の中のためにこの軸に駆けつけていただいた。
森村泰昌 Yasumasa MORIMURA
1951年大阪府生まれ。京都市立芸術大学美術学部卒業。1985年にゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト写真《肖像(ゴッホ)》を発表。以後、美術作品や歴史上の人物に扮したセルフポートレイトで独自の作品を展開。第43回ヴェネチア・ビエンナーレ・アペルト(1988)に選出され海外でも注目を集める。主な国内での個展は「美に至る病/女優になった私」(横浜美術館、1996)、「空想美術館/絵画になった私」(東京都現代美術館他、1998)、「なにものかへのレクイエム/戦場の頂上の芸術」(東京都写真美術館他、2010)、「YASUMASA MORIMURA: EGO OBSCURA」(ジャパン・ソサイエティ、2018)、「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020ーさまよえるニッポンの私」(原美術館、2020)、「Yasumasa Morimura and Cindy Sherman: Masquerades」(M+(香港)、2024-2025)など。